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トリコとカモと――卵の日

※攻略関連はこちら→エッグハント攻略情報

  ギルドの任務を終え久しぶりにグリダニアに戻ってみると、どうにも町が騒がしい。なにやら卵を模した怪しげな風船が浮かび上がり、卵のような形の怪しい冑をかぶっている者をやけに多く見かけるのである。
エッグバルーン

 とある我が悪友も青やピンク、黄色と言った極彩色に塗られた卵冑を着けていた。
 こは何事ぞと目を見張る我輩の前でそ奴が帽子を脱ぐと、その頭上にはドードーのものと思しき大きさの卵が鎮座ましましている。しかも、その卵も冑と同じく極彩色である。
 我輩の目の前で何が起こっているのか。一体こ奴は何をしているのか。我輩、頭の中に疑問符が充満し耳から溢れ出そうな勢いである。
 奴は頭上から卵を手に取り確認すると、
「お、こいつは当たりだったようだな」と呟いた。
 その語るところによると、この卵はカモエッグと言って、ドードーの一種であるカモドードーの卵らしい。「カモがネギ(リーキ)しょってやってきた」という言い回しがある。騙しやすい相手とうまい話がセットになっていることを意味する詐欺師の隠語である。この“騙しやすい相手”にあたる“カモ”というのがカモドードーのことだそうだ。
 成る程、確かに空を飛べぬドードーは他の鳥類と比べて捕らえやすく、またその肉とリーキの組み合わせは絶妙である。あまり一般的ではないが、ドードー肉をメインとした山の幸の串焼きも我輩が自分で焼く際には必ずリーキを使う。
 そしてカモドードーというのは肉も美味いが卵の味は正に絶品であり、舌がとろけるようであるという。だが通常のドードーとカモドードーを見分けるのは至難であり、鶏のヒヨコの雌雄を見分けるよりも難しいそうだ。
「ところがだ。それを簡単に見分ける方法がついに判明したってわけだ」
 温かく暗い場所でドードーの卵を温めると、カモドードーのものであればその殻が極彩色に染まる場合があるという。色が変わればカモドードーの卵、変わらなければ普通のドードーの卵である。
 そして、色を変えるための温度や湿度など全ての条件が一致するのが人の頭の上に卵を載せ、帽子をかぶった状態らしい。
「で、さっそくカモドードーのが混ざってるっていうドードーの卵を仕入れたんだが、ちょっと数が多くてな。俺ひとりじゃ温め切れなさそうだし、よければ少し分けてやるぜ?」
 この男のことだ。また欲をかいて仕入れすぎたのだろう。そういう弱みを指摘してやった結果、奴の言い値の半額ほどで買い取ることになった。通常のドードーの卵より多少値は張るが、そこまで美味いという事であればその程度は出してもよかろう。

 その翌日のことである。我輩は奴を探し回っていた。
 頭巾(コイフ)に卵を入れて温めていた我輩は、そのためにふくれた頭部のことを辻店区で出会った知り合いに尋ねられ、事情を話したところ大笑いされた。
 当然である。極彩色の卵は町中で見かける卵帽子と同じく、賢者が卵に降臨するなどという如何わしい預言による奇祭に纏わる物であるという。祭りの為に装飾を施した卵には何種類かあるが、カモエッグというのはその一つで普通のドードーの卵に色を塗っただけのものだそうだ。
 つまり、奴が昨日語っていたカモドードーやらいうたわ言はすべて出鱈目である。あのような寝言を真に受けてしまった自分に腹が立つ。
 足を棒にして奴の姿を求めた我輩は、例の奇祭「エッグハント」の信奉者から情報を得ることが出来た。エッグハントは事件の為に一時中断されているという。協力者であったはずのスプリガンたちの一部によって件の祭に必要な装飾卵が盗みだされてしまったのだ。
 どうやらその奪還に駆り出された冒険者の中に奴もいたらしい。

 ムントゥイ醸造庫はキャンプ・エメラルドモスから程近い地下に広がる廃墟だ。
 かつては黒衣森を代表する巨大な酒蔵であったらしいが現在では寂れ果て、密猟者や魔物どもが塒とする森の治安悪化の一因である。エーテライトゲートも設けられ定期的な魔物討伐指令(ビヘスト)も出されているが人に知られぬ出入り口があちこちにあるらしく今なお根絶には至っていない。
 奴はエッグハントの飾り卵を盗み出したツィギーが潜んでいるという情報を受けてここに向かったらしい。
 スプリガンはゴワゴワした黒い毛玉にウサギのような長い耳をはやした魔物である。エオルゼア全土に生息するが人前に姿を現すことは稀であり、毛玉仲間のスナーブルが鉱床発見の幸運の象徴とされているのと対照的に採掘師からは鉱石泥棒として毛嫌いされている。
 言葉を語る程度の些少の知能を持つようだが、鉱石を主食とするらしい彼らが何ゆえに卵など盗み出したのか、そもそも何ゆえにあの様な奇祭に協力していたのか量りかねる。スプリガンの社会に異変でも起きているのであろうか。
 そんなことを考えながら廃墟に歩を進めていると通路に人が倒れているのを発見した。魔物に襲われた冒険者かと駆け寄ってみると、木製のマスクで顔を覆ったミコッテの格闘士だった。黒衣森で木のマスクを着けたミコッテを見たらそれは鬼哭隊か密猟者のいずれかと相場が決まっており、槍以外の武器を持っているならば九分九厘後者である。冒険者の可能性も無いではないがサゴリー砂漠に雨が降るよりも確率は低い。
 大方、縄張りに侵入した奴を撃退しようとして返り討ちにあったのであろう。呪弾によって生気を失い昏睡している。いずれ仲間がやってきて救出されようし、いま目を覚まされても厄介なのでそのまま放置し奴の痕跡を追うことにした。
 そこから先も、通路にはコウモリやマイトリングといった魔物たちの屍が点々と残されている。目印となる上に邪魔な魔物が片付いているおかげで追跡が楽だ。やがて何度も折れ曲がる通路の先から硬質の物が岩壁にぶつかる音と呪術の昂唱とが聞こえてきた。何者かが奴と戦っているようである。
 剣歯スプリガンは通常は年経たスプリガンがなるものだが、時折り若くしてその段階まで歯が生え変わるものがいる。それらは次の階梯であるヴォーパルスプリガンへと変化し、その鋭い前歯には剣術の達人ですら一撃でくびをはねられたと聞く。
 よもやツィギーとやら、そのヴォーパルスプリガンの一体であったりはすまいか。慌てて駆け出し奥の部屋へと辿り着くと、ちょうど奴がこの部屋に住み着いていたらしい座頭蟹を仕留めたところであった。残念なことにまったくの無事だったようだ。
 そして部屋の奥の一隅には飾り卵を抱えたスプリガンが縮こまって居る。素早く扉の陰に身を隠した我輩のもとに、その声が届いてきた。
ツィギー「ツィギー、ミヅガッタ。ワロイ、ワロイ……スプリガンモ、ケジャサマ、ホシカッダダケナ。アリゴンタムゴ、カエズ、デモ、コゴ、ナイ」
「いや、卵はいいからお前が持ち出したって言う帽子の方を寄越せば見逃してやるよ。あれは同じのが倉庫に残ってないって話で信者どもに高く売れそうだからな」
 この男は卵を取り返すように雇われておきながらその任を放り出して犯人と裏取引をしようとしているというのか。正しく欲望の虜と呼ばざるを得ない。
 一体どこまで我輩を呆れ返らせれば気が済むのか。開いた口がふさがらずにそのまま糺す声が思わず出た。
「やべえ、見つかったか。いやいやいや、まあ、そう熱くなるなよ。こいつだって悪気があってやったわけじゃねえんだし」
 横のスプリガンに矛先を向けたいようだがそんなことはどうでもよい。
「あれ?いいのか?」
 それよりも、貴様が先に働いた詐欺行為のことである。
「ああ、あれか」
 あれか、ではない。カモドードーなどという下らぬ出鱈目で人からせこく金を巻き上げておいて何か他に言うべきことがあるのでは無いか。
「確かにあれは口から出任せだ。だが……」
 徐に上げた奴の指先が、真っ直ぐに我輩をさした。
「カモドードーはいなくても、カモはいたじゃねえか」

***

 奴をぶちのめし終えて気付くとツィギーはすでに姿を消していた。後には例の祭で景品に使われる帽子が残されている。詫びのつもりであろうか。そこに倒れている男よりは魔物の方が余程に潔いようだ。
 魔物にも人の情というものは理解できるのであろうか。統治者(アルコン)と呼ばれる十二賢者がもしこの時代に新たな生を受けるとしたら、その下でスプリガンたちはどのように暮らすのだろう。人の賢者の創る世は所詮は人が為の世。スプリガンには住み難いのでは無かろうか。或いは彼らはそれを恐れて自分達の為の賢者を欲したのであろうか。
 我輩は首を振りそれらの疑問を頭から払った。どうにも空想に重ねた空想が妄想へと変わるようでいかぬ。早々にこの暗い穴蔵から陽の下へと戻るが良いようである。
 奇祭の果てに賢者とやらが真実に現れるにせよただのペテンであるにせよ、祭は祭。今はただ皆と楽しむのが健全というものだ。我輩も自分を待つ仲間(そこに倒れている男は除く)のもとへ帰るとしよう。

 諸君も良い祭の日を過ごさんことを。
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